加工品(気相)サーモペレ

造粒蓄熱材『サーモペレ』

活性炭が溶剤蒸気などを吸着すると、凝縮熱に相当する熱が発生して温度上昇が起きます。反対に脱着をする際には蒸発熱に相当する熱が奪われ、温度が低下します。ところで活性炭の吸脱着性能は温度に依存し、温度が低いと吸着が有利、温度が高いと脱離が有利になります。従って、急激な温度変化が起こる使用条件(高い濃度の溶剤蒸気を活性炭で処理するなど)では、吸着が進むにつれて温度が一気に上昇してしまい吸着性能が低下する、あるいは逆に脱着が進むと温度が一気に低下して脱着性能が低下するという現象が起こります。
活性炭を溶剤回収に使用するに当たっては、このような吸着・脱着に伴う温度上昇・低下を制御することが効率化の一つのポイントとなります。また、特に吸着時の急激な温度上昇を抑制することは、安全面からも重要です。

サーモペレ

このような課題に応えるため、大阪ガスケミカルグループでは活性炭の急激な温度変化を抑制する蓄熱材ペレットを開発しています。これは、内包する物質の固体⇔液体の相変化を利用した材料で、固体から液体に変化する際には熱を吸収し、液体から固体に変化する際には熱を放出します。この蓄熱材ペレットを活性炭と混合使用すると、吸着時には温度上昇分の熱量を蓄熱材が吸収、脱着時には温度低下分の熱量を蓄熱材が提供し、系全体の急激な温度変化を緩和することができます。

造粒蓄熱材
造粒蓄熱材

蓄熱材の併用によるブタン有効吸着量の向上

  • 温度変化
  • 活性炭のみ
  • 活性炭 + 蓄熱材

ブタン有効吸着量 ※蓄熱材込みでの単位体積当たり吸着量
吸着材 ブタン有効吸着量 / g / L ※
活性炭のみ 59.4
活性炭(80%)+蓄熱材(20%) 67.4

図は、ブタン吸脱着実験における吸着容器内の温度変化を示したもので、左図は活性炭のみ、右図は活性炭に蓄熱材を混合したものです。蓄熱材を混合することで、温度の変動幅が小さくなることがわかります。また、表には蓄熱材がない場合とある場合でのブタン有効吸着量を記載してあります。同一体積で比較した場合、蓄熱材を加えた方が活性炭の量は対的に少なくなりますが、それでも有効吸着量は増加しており、活性炭の吸脱着性能が向上することが示されています。

蓄熱材の耐溶剤性

蓄熱材は耐溶剤性の高いフェノール樹脂でペレット化してあり、よく用いられる有機溶剤に対し高い耐久性を持っております。
次の表には、代表的な有機溶剤であるトルエン、ジクロロメタン、アセトン、エタノールに所定の温度・時間浸漬した場合の膨潤度合(重量増加率)と、浸漬後のペレットの熱量減少率をまとめております。蓄熱材ペレットはこれらの溶剤に高い耐性を示すことから、溶剤蒸気による劣化を懸念せず安心してお使いいただけます。

各種有機溶剤耐性 (室温、72時間浸漬後のデータ)
<一般品>
溶剤 重量増加率 / % 熱量減少率 / %
トルエン < 5 ~ 0
アセトン < 3 ~ 0
ジクロロメタン < 5 < 5
エタノール < 3 ~ 0