用途別の活性炭選定

水処理・空気浄化・医薬品や食品の精製など用途別の活性炭選定マトリクスと重要評価指標を解説します。

用途から始める活性炭選定

活性炭選定の第一歩は「何のために使うか(用途)」を明確にすることです。用途によって要求される細孔分布・原料・形状・安全規格が異なるため、用途を軸にした選定が効率的です。

用途別選定マトリクス

用途推奨原料推奨形状重視する指標安全規格
上水処理(かび臭・農薬除去)ヤシ殻系GAC(固定床)よう素吸着性能・硬さ食品衛生法・JIS K 1474
上水処理(PAC添加)ヤシ殻系・木質系PACよう素吸着性能・MB吸着性能食品衛生法
工業用水・排水処理石炭系・ヤシ殻系GACよう素吸着性能・硬さJIS K 1474
溶剤回収(気相)石炭系・ヤシ殻系GACよう素吸着性能・硬さ・充填密度—
砂糖・食品の脱色精製木質系PACMB吸着性能・強熱残分・pH食品衛生法
食用油の精製木質系・ヤシ殻系PACMB吸着性能・強熱残分(灰分)・酸値食品衛生法
医薬品製造(GMP対応)ヤシ殻系PAC純度・重金属・強熱残分(灰分)薬局方・GMP
空気浄化(VOC・臭気)石炭系・ヤシ殻系GAC・成形炭よう素吸着性能・充填密度—
室内空気(家庭用フィルター)各種成形炭・PAC担持よう素吸着性能・安全性—

水処理向け:ヤシ殻系GAC(よう素吸着性能が高い)

選定の理由

  • ミクロ孔が豊富でよう素吸着性能が高い(900〜1200 mg/g)
  • 硬度が高く(> 90%)固定床長期運転に適する
  • 強熱残分(灰分)が少なく食品衛生規格に適合しやすい
  • 繰り返し加熱再生が可能

チェックポイント

項目推奨値
よう素吸着性能≥ 900 mg/g
硬さ≥ 90%
pH6〜8
強熱残分(灰分)≤ 5%
粒径(8×30メッシュ等)仕様に準拠

代表的な処理対象

  • 2-MIB(メチルイソボルネオール)・ジェオスミン:よう素吸着性能 ≥ 1000 mg/g
  • トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン:よう素吸着性能 ≥ 900 mg/g
  • 農薬(アトラジン等):BET比表面積も合わせて確認

脱色・脱臭向け:木質系(高MB値)

選定の理由

  • メソ孔が発達しており大分子(染料・色素・フミン酸)の吸着に優れる
  • 薬品賦活(ZnCl₂・H₃PO₄)によりメソ孔をコントロールできる
  • 粉末炭(PAC)として液体への分散・混合が容易

チェックポイント

項目推奨値
MB吸着性能≥ 150 mL/g(砂糖の脱色など高度な脱色)
強熱残分(灰分)≤ 5%(食品用途)
pH6〜8
粒径(200メッシュ通過)95%以上

空気浄化向け:高比表面積・適切な細孔径

選定の理由

  • ガス分子(VOC・臭気)の吸着にはミクロ孔が主要な吸着サイト
  • 気相吸着では液相と異なり水分の影響が大きいため、疎水性の高い活性炭が有利
  • 圧力損失の観点から適切な粒径・形状の選定も重要

チェックポイント

項目推奨値
よう素吸着性能≥ 1000 mg/g
充填密度400〜550 g/L(GAC)
粒径用途・圧力損失設計による
含浸の有無特定ガス(アンモニア・H₂S等)には添着活性炭

各用途での重要評価指標まとめ

用途カテゴリ最重要指標次に重要な指標
水処理(小分子有機物除去)よう素吸着性能BET比表面積・硬さ
水処理(脱色・フミン酸除去)MB吸着性能よう素吸着性能
医薬品・食品の精製強強熱残分(灰分)・pH・重金属MB吸着性能またはよう素吸着性能
溶剤回収よう素吸着性能・充填密度硬さ・粒径分布
空気浄化よう素吸着性能充填密度・粒径

選定の詳細は「形状別の活性炭選定」と「仕様書の読み方」ページも参照してください。

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